創作活動の振り返り:活動領域と環境
まどろみと夢の間でのブログ記事
お世話になります、月村望です。
今回は少し真面目な話をしつつ、同人活動について振り返ろうと思います。
催眠に関してはそこそこ真面目な話を書いたりしてきたつもりですが
こういった面での記載は初めてだと思いますので
適当にお読み頂ければ...
あくまで望の思考メモに近いものでありまして
考えを強要するものでもございませんし、1意見としてご認識頂ければ幸いです。
【活動同期の経過】
~3年目(2016~2018)
催眠音声を実際に形にできて、とても嬉しい。
DLして頂ける人もいて、フィードバックもある。
自作台本もできてとても嬉しい。
作品も出せたし楽しいな。
過去視聴させて頂いていたサークル様とも会話できたし
作品参加もできて、とっても楽しい。
夏コミの配置もできて販売できたし、楽しいこといっぱいだぜ。
4年目(2019)
作品をコンスタントに年1本は出したいな。
グッズも作ったりしたいし、色々なプラットフォームがあるな。
うーん、どうしようかな。
5年目(2020)
Ci-enを初めて、周りの方も創作を始めたりして、結構楽しい!
もっと積極的に発信して、いろんな人と活動したいな。
本当にみんながほしいものを作れているんだろうか?
追加音声を作って連動としたり、スクリプト配布したり。
グッズも作れて販売開始できたけど、イマイチ。
6年目(2021)
作品を出すペース、そもそもおそすぎでは?
創作するモチベーション自体はあるけれど、走り切るの少し疲れるかも。
【個人としての経験】
本サークルは暇を持て余した社会人1年目 女性向け催眠少ないなぁ
と思いながらなんとかやってみよう!えいえい!としたサークルでしたので
社会人としての経験を積んでいくほど、より経済活動に触れるので
サークルとしての取り組みやそれを取り巻く環境等を理解することができました。
で、大変個人的な話なのですがCtoC業務をしておらず
ある程度職能分割された形での仕事をしている関係上
日々色々な数値をみたり、学んだりします。
【同人活動としての学び-収支は気にしなくていいの?】
個人としての屋号を運営する同人活動からの学びはとても大きいです。
商業活動であれば、皆様おなじみ固定費から限界利益から...
出金(でがね)が常に発生するのでキャッシュが回らなくなると運営継続できません。
同人活動であればこそ、自分の時間を無限に消費できるので
結果的に無限操業できていますが、残念ながら人間の時間は有限です。
資本社会主義で活動する以上、常に生は資本と隣接せざるを得ません。
生存に必要な資本は歳を取ると増大していく傾向がある所があり
結果として時間辺りに求める対価も大きくなっていきます。
事象及び傾向への解釈は全く人によって異なると思いますので
こちらの考えはあくまではありますが、遠からずかな...というところです。
同人活動とは、対価を望んではならない 利益度外視の活動だから と実しやかに囁かれますが
本当にそうなんでしょうか?(思考停止しているのではないか、です。)
販売されることがめでたい!という部分は非常に大きいのですが
「本当に発売される」という行為だけで同人活動は無限に継続できるのでしょうか。
もし「同人活動は経済的対価を含む内容を度外視して行うものである」ならば
「同人活動を応援する、従業員を抱えた会社」というのは存在しないのでは?とも思います。
【市場と金額の理解が大切】
上記を受け、忌避してきた規模/金額というものについて、しっかりと認識する必要が
あると考えます。
加えて、弊方が活動するメインPFであるDLSiteについても理解した上で、どのような状
況にいるのか理解し、積極的に問いかけをしないと
ただただ作品を作り、そろそろおしまいにするか、みたいな終わりになりかねません。
個人は常に個人の商店を支える/理解していく存在で、目を背けることは流出を許容することに他なりません。
同人活動への投資(時間/お金)が潤沢であったとしても、必ず潤沢ではなくなる時が来ます。
その時になってできることは、投資の終了だけになってしまうのです。
それは翻って、応援頂いている方々へのある種背きにもなってしまうのかなと...
やるんだから沢山出たら嬉しいし、沢山出ることに悪さはない、というスタンスですね。
売れない/出ない作品、というのは 靴とか家電とかに例えるとわかりやすいと思います。
その商品、売れていないけれど、どれだけ人の役に立っているの?
商品の価値は絶対評価の側面も持ちますが(購入者の体験)得てして相対的な評価も気にしてしまいます(規模)
というわけでそういった販売を担うプラットフォーム(PF)サイトの得ている利益や
市場規模を知りながら、どうしようもないなぁ、という話をしていきましょう。
【エイシスという会社のサービスである、DLsite】
DLSiteは株式会社エイシスの提供するサービスの1つです。
2020年の売上高は250億円を計上しています。
事業内容は下記が詳しいですが、DLSiteが筆頭といってもいいでしょう。
(https://www.eisys.co.jp/business/services)
DLsiteの同人作品は大凡50%が手数料としてサイトへ徴収されます。
DLSiteにとっては、商品自体を準備する商品原価は0円です。
固定費として設備費(サーバ他)人件費が考えられますが、販売原価は50%という事です。
販売者は製造直接労働費を持たないため償却/登録対応等人件費工数
が費用として挙げられ、販売単価にもよりますが、そこそこ良い商売なのかな、と勝手に思っています。
損益計算書が公開されていませんが、当期純利益をみると、手堅く投資を進めつつ
利益を上げ続けている、という事業構成を保てているように見えます。
「投資」というのは、無償やボランティアでやることではありません。
会社員を抱える会社である以上、利益を出すことは企業の使命です。
投資ができるのは利益があるからで、利益を得るために投資を行います。/立ち上げ初
期は投資額の初期借り入れが必要です。
投資が日の目を浴びるか?それは市場がどのような傾向にあるか、です。
DLsiteの取扱品はデジタルコンテンツですから、今後続伸する市場です。
だからこそ、投資継続できている現実があります。
(投資を継続することでPFとしての強みを発揮しながら市場共にに成長できている)
では本当に成長傾向にある市場ですか?そうです。
【音声業界の市場規模】
本サークルは音声分野ですので、音声業界にフォーカスを当てましょう。
音声コンテンツ市場は7500億円@2017年、オリジナルコンテンツは82億円の市場規模です。
(https://book.mynavi.jp/wdonline/detail_summary/id=111871)
デジタル音声広告の市場規模は16億円@2020年->420億円@2025年の予測です。
(https://qeee.jp/magazine/articles/13651)
ちなみに、カラオケのコンテンツは1200億円うどんは1461億円でした。
(https://gyokai-search.com/5-kibo.html)
つまり、音声市場は拡大傾向にあるものの、うどんよりも市場経済規模が小さい、ということです。
うどんの方が市場規模があります。メガネでもいいです@1528億円
販売割合がどの程度か不明ですが(比率がわからない上に、音声と同様傾向を市場全体に担保できるのか)
エイシスの単位で考えれば、デジタルコンテンツ/エンタテインメントは全体から続伸で良いかと思います。
【エイシスはどうなると困る、と考えられるのか。】
エイシス全体事業として、どの程度の販売割合であるか
また、各事業内容についてどの程度の利益を求めているかわからないのでふわふわです。
DLsiteの困りごとは複数あると考えられますが、以下3点が結構なポイントかと思います。
①商品原価が50%だが、登録者が増えないと販売増できない。
(新作の停滞/販売目標達成の要因が不明確になり得る)
②PF自体が魅力的でないと、登録者/利用者が離れる/減っていく。
(同業他社との差別化が必要)
③同人活動人口自体の減少
要するにしっかりと利益から投資を行っており、良いもんだなぁ、と思います。
①については、
発生対策
・宣伝(他PF優位性を)を継続する
・商品原価率を下げ、新規キャンペーンを展開する
ー>これは身を削ればできる内容です。
根本対策
・商品原価50%を想定した自社企画の進行(外部に頼らない内製)
・他事業内容における収益の保持
->これは、利益を確保した上で自社で活動する。知見と資本がないとできない内容です。
②については
発生対策
・利用者アンケートの実施
・他PFとの比較、利用率の調査
->この点への対策が遅れていると考えます。知りませんが。
根本対策
・サービスPFのレイヤーアップ
->Ci-enという方法でカバーしています。
;Ci-enの手数料が10%ということを鑑みれば、DLsiteは②について不足を容認しているように思えます。
こちらを10%にしても、本業で十分に利益を出せている、投資額対②の根本対策 が合理的に判断された、ということです。
③については
発生対策
・継続的な活動を容認できるような形へ、創作活動自体を変更させていく
->これもCi-enで対策しています。
根本対策
・同人作家の育成
・収録他活動環境の整備
->トリノガッコウという企画で着々と裾野を広げようと活動しています。
CV用のスタジオ設立して、CV無料キャンペーンもしていますね。(台本要)
そうして、活動範囲を着実に広げています。
【DLsiteはどこに向かうの?】
エイシスは下記経営理念を掲げています。
○心に響く作品を、心にとどくサービスで
・ユーザーとクリエイターが楽しみながら、幸せに生きていける社会にする
・すべての二次元オタクを幸せにする
・二次元コンテンツを世の中に知ってもらうために、さらなるチャレンジを行う
(https://www.eisys.co.jp/company/philosophy)
その上で、①根本対策//裾野を広げる ということについて記載します。
特に僕はがるまに側で活動しているので、がるまにを書きます。
がるまに側では自作コンテンツを積極的に発信しています。
(https://www.eisys.co.jp/business/labels/girlsmaniax)
自社コンテンツの育成に、とても積極的です。(https://uramite.com/)
なぜこういった活動ができるか?利益があり、DLsiteの抱える構造上の欠点を補いうる
「合理的な投資」だからです。
物事には多面性がありますが、資本主義社会で活動する企業である以上、指標は「お金」です。
親企業からの出資があると思いますが、基本的にお金は効果的に投資しなければなりません。
「合理的な投資」であると判断されたものは実行されます。
投資に伴う利益が得られなければ、企業としての実行価値はそこまでありません。
ではこの利益はどこから出ている/どこからを想定しているのか。
販売原価50%の利益累積です。
その累積を持って、自社コンテンツの育成を行い、自社コンテンツがコケたとしても
稼ぎ続けることができる、なかなか強固なキャッシュ循環です。素晴らしいですね。
ポイントは「心にひびく作品を、心にとどくサービスで」です。
作品の主体者を制限していないので、エイシス自体がその提供者になることもあり得
る、ということですね。
活動からVtuberに近いプラットフォームも目論んでいることが伺えますし
自社コンテンツを持つことに投資を継続していきそうな印象です。
それは、販売原価50%の利益累積です。
ここでもう少し上の文章に戻っていくのですが、そういうことです。
販売されることがめでたい!という部分は非常に大きいのですが
「本当に発売される」という行為だけで同人活動は無限に継続できるのでしょうか。
もし「同人活動は経済的対価を含む内容を度外視して行うものである」ならば
「同人活動を応援する、従業員を抱える会社」というのは存在しないのでは?とも思います。
->
・同人を活動領域として、従業員を抱える会社が存在する
・経済的対価を考慮しない同人活動は結果としてその会社へ利益供与する
・その利益は会社の考える同人活動へ投資されていく
みたいな気持ちです。
【むずかしいなぁ、みたいなやつ】
市場規模で考える、ということはこういう所って売れてるんだなぁ、みたいな所です。
で、自分のいる所がわかったからといって何ができるわけでもありません。
DLsiteで販売登録して、売って頂いても50%は手数料、長い目で見て白字位。
その50%は創作活動じゃなくて、エイシスが売りたいものの投資、エイシスがより大きくなるための投資へ。
そんな姿を見ながら、どうしようなぁ、って思います。
自責で考えれば、どのように作品売るのか?どうしたらいいのか。
自分の同人活動は無償だから...ではない。と思います。
それが故におかげさまで。ということになってるの、僕は正直、癪に思ってしまうタイプなので...
ですが自分はちっさいサークルなので、こつこつ作品をつくったり。
ちまちまするだけしかできていません。ですが、考えることはできます。
催眠にもちょっと関係しますが、人間は思考こそに価値があり、
思考は、誰にも阻害することのできない人間の権利です。
だからその可能性を閉じることなく、広く考えて活動すべきなのです。
具体的に販売を伸ばしていくのはどうしたらいいんだろう。
というのを続けていくだけです。
それは勿論、過去からCi-enでこうしたらいいんじゃないか?とか言いながら進めていたりした内容です。
そういう訳で次週にも内容を更新していきます。
多分こちらのブログとCi-enどちらも更新すると思います。がんばれ!
月村 望