まどろみと夢の間

関心と信頼、モラルと悪意の認識

前回、イマイチ正確でない事を書いてしまい

一部誤解が生じる部分があったと思います。

 

催眠状態の深化について少しと、催眠をかけるということ

について形にしておこうと思います。

 

少しでも、皆様の催眠ライフのお役に立てれば幸いです。

(私個人の考えである、ということをご了承の上お読み頂ければと思います)

 

・関心と信頼

・モラルと悪意

 

・関心と信頼

前回、催眠状態に入っていくには信頼関係が不可欠である、と書かせて頂きました。

これは、前提を少し飛び越えた話です。

 

催眠術に掛かるには、掛かって頂くには被施術者の関心を引くことが必要不可欠です。

関心の無いものには集中する気も起きないですよね。

催眠は集中が深化した状態の一種ですので、最低、関心は惹かねばならんわけです。

ではどの程度、関心を引けばよいのでしょうか。

 

私の場合、催眠に初めて掛かった赤いリボンのリコ事を思い返してみると

いやいやそんなの掛かるわけ無いでしょ。出来るものならどうぞどうぞ。

とかいいながらもう興味津々だった、と思います。

 

その結果掛かりましたが、面白い体験を出来たなぁと思います。

ただ、赤いリボンのリコに後暗示(後催眠??)があります。

そのお陰で終わった後も2日位は混乱していたことも覚えています。

 

集中に必要な要素は関心以外、あるでしょうか?

好奇心もそうでしょう。

(関心と好奇心は似ていますが、若干違うものだと思います)

また、自己改善の為に、気持ちよくなるために、等といった、

明確な目的意識も、集中に寄与することでしょう。

 

ちょっと他には思いつかないので、逆に集中を阻害する要因を考えてみましょう。

集中阻害の要因は以下の2つ、

阻害する要因が外部から来るもの(外的阻害要因)と

阻害する要因が内部から湧き上がるモノ(内的阻害要因)に帰属されると思います。

(外と内、と言っているので2つに分かれるのはある種当然ですが...)

 

例えば、

・周りの音が相当に激しい

・施術を行う部屋の温度や湿度が適していない

・施術者による催眠の強要

外的阻害要因に当たるでしょう。

外的阻害要因は大体、環境や言葉の工夫によって解決できます。

(施術者による強要は、発信源が外部なので、外的要因としています)

 

また、

・恐怖、不安

・そもそもの雑念

・無用なプレッシャー(過剰協調、掛かるべきだという義務感)

・体が非常に疲れている。そもそも眠い。

内的阻害要因に当たるでしょう。

恐怖や不安は独立した項目であり、単独で対処しなければなりません。

また、雑念は関心、好奇心の上昇に伴い減少していきます。

プレッシャーは施術者の言葉や被験者の考え方次第です。

 

つまり集中とは、上記の様なものから構成されており、

関心を阻害する要素が関心の値を上回れば、入っていくものです。

また、集中という状態の特性上、一度集中を始めてしまえば

大きな阻害要因が発生しない限り高まって行きます。

所謂、1に1より少し大きい数が掛け合わされていくような感じですね。

(数、とかだと分かりにくいので乗算値と呼ぶことにします)

乗算値が1以下になることで集中は徐々に薄まり、催眠は解けていきます。

 

 

催眠は集中状態に入って頂き、それを更に深めていく行為です。

というわけで、集中してもらえれば大体なんとかなってしまうわけですね。

 

私の言う「信頼」とは、内的阻害要因が発生しない関係を指しています。

相手をある程度信頼していれば、催眠に掛かれるだろう。という考えです。

更に正確に表現すれば、関心が阻害要因を上回れば催眠に入れる、ということです。

 

信頼が発生していない状態であれば、乗算値の急激な減少が起こり得ます。

そのため、集中状態が解け、催眠状態から覚醒する事も考えられるでしょう。

 

これは裏を返せば、集中状態を阻害する要因を発生させず、顕在化する前に対処することで催眠深度が深く出来るってことです。

催眠状態は深く入る程、無意識が支配的になっていきます。

また、催眠状態は被施術者の無意識に影響を与えうる状態なわけです

 

ですので、ここからがちょっと難しい、問題になってくるわけです。

 

 

 

モラルと悪意

催眠について考えを纏めるに連れ、本項はちゃんと書くべきだなぁとは思っておりました。

 

今私達が活動しているいわゆる「意識」というのは、顕在意識です。

しかしこの顕在意識はなんやかんや研究された結果、全体から見て非常に僅かな存在です。

今ある「意識」は氷山の一角である、というような言葉は多々耳にしたことがあるかと思いますが、つまりはそういうことです。

前意識無意識と言った、顕在意識とは階層の異なる意識(意識レベル)が存在します。

これらが巷で使われている無意識と言うやつです。

 

催眠状態とは覚醒状態と異なり、顕在意識が休止状態になり、前意識や無意識といった部分が活性化されて大きな影響力を持つ状態です。

(前項と同様に、ざっくり言えば無意識が支配的ってことです)

 

催眠状態に入った上で、集中を阻害しなければ、無意識にどんどんと語りかけ、少しずつ認識を変化させていくことが出来るわけです。

 

あまり有用なアイデアは思い浮かびませんが、一つは好意の変化です。

顕在意識においてあまり、好意を持てないものがあったとします。

催眠状態において、言葉選びに気をつけ、徐々に語りかけることでその言葉は無意識へと波及していきます。無意識においてそれを認知してしまえば、顕在意識においても認識が徐々に変化する、ということです。

(「変化する」の形は人それぞれです。そのまま受け入れるのか、抵抗しつつなのか等)

 

他にも、集中の増強無抵抗が是であるとする暗示、など方法は様々あるのではないでしょうか。

こうすることで、顕在意識において拒んでいる暗示もなんやかんや、通るようになってしまうわけです。

(暗示の方法や深度によって通るかどうか、は異なります。しかし、粘り強く続けるのが催眠です。被暗示性が高ければ、繰り返し落とされていったらどうなるか、想像に難くない、と思います。)

 

こうして無意識に大して十分に影響を与えられれば、あとはどうとでもなるのです。

例えば、抜けづらい暗示、催眠を掛けることです。

催眠状態に入るトリガーを、(一人になる状況で)日常生活において頻繁に目にするものとして指定し、繰り返し落ちる感覚を学ばせることで、恐らく、トリガーとして十分機能するようになるでしょう。

同様に、耳にする言葉も可能です。落ちる時のアンカーを自分自身に発言させると言った手法を取ることでそれはめくるめく世界になるでしょう。

 

じゃあこれっていいことなの?ってわけです。

これが難しいのですね。

 

例えば、集中力がなく散漫になってしまうから、少し催眠で改善して、少しずつ集中力をつけていきたい。という希望が被施術者側からあったとします。

集中する、したい。から催眠を受ける、という点で関心、目的意識は十分でしょう。

内的阻害要因である恐怖やプレッシャーも解され、徐々に催眠に入っていきます。

そして、

 

私の声にもっともっと集中していくことが出来る

耳から聞こえる私の声が気持ちい。

素直に声を聞くのがだーいすき。

声に従うことは気持ち良い。

 

などと言った暗示が重ね重ね掛けられ、深化していくとします。

更に深化と覚醒を繰り返し、とろとろと沈んでいったとします。

 

十二分に催眠が深くなっていまえば、もはやまな板の上の鯉なわけです。

(この表現はあんまり好きじゃないです。

追伸にあるような事がしっかり(普通に)出来ているのであれば

深くなっても嫌なことは基本的に拒絶できるのです)

 

ここが、ちょっと難しい施術者側の「モラル」の問題ですね。

 

暗示に用いる言葉や表現の端々、支配的なものを使って

丁度いい感じに気持ち良くしていくのであれば、無問題なのです。

 

ただ、話と違う、とか、それ話してなかったけど嫌なの、といった

意図していない結果」に繋がる、と言うことは

過激に言えば、一線を超えてしまった事態、なわけです。

 

施術者の方が「催眠状態における暗示に強力さ」どの程度認識しているかは

アンカーのワードや覚醒指示に現れます。

 

例えば、上で記した通り、限定性の低い言葉や

安易に思い出す、日常的に利用する言葉をアンカーとして設定すること、などです。

覚醒指示の際に、アンカーの解除を行うか、行わないか、等です。

 

これも難しいのですが、回数を重ねる程に

意図しない結果」を生み出す可能性が増していくでしょう。

例えば、恒常的な軽催眠状態の誘発は最も起こり得る現象の1つです。

進行したらどうなるか、どうなるでしょう、むずかしいはなしですね。

 

一貫して日常系アンカーを利用する方やアンカーの解除をしっかりと行わない方は、恐らくそういった認識を持ったうえで、意図的にしています。

まちまちな方は、単に不慣れか、暗示による効果を認識していないのでしょう。

 

これが即、「悪意」に繋がるわけではありません。

催眠や催眠状態に対する考え方は人それぞれですし

何が悪くて何が良い、だなんて絶対的な尺度は大変極端な例でない限り存在しないでしょう。

そもそも、施術者本人が悪意を持っていなければ

本人も「悪意ある催眠は行っていない」と考えるでしょう。

 

ではこれがもし、「本物の悪意」に由来していたらどうでしょう。

催眠は個人の心理領域を扱う技術ですから、実に大変な話です。

深いし、この暗示で遊んでやろ笑、みたいな行動は如何なものでしょうか。

それこそ、施術者の「モラル」が問われていきます。

施術者による同意の無い催眠暗示は、施術者側に責任が大いにあるはずです。

また、それが特に日常生活や精神に強く影響するものだった場合、

施術者に問題がある」と断言出来るでしょう。

 

 

ただし、それが明記されていれば話は別です。

施術前に同意が得られれば良いのです。

いつでも落ちることの出来る催眠大好き人間になっていこうね。とか。

どんどん被暗示性を上げて、催眠を楽しんで行きたいよね?とか。

そんな暗示をかけたいし、かけてほしい。マッチすれば全く問題無いんです。

お互いに認識を共有して、同意していれば、「悪意」には成り得ないのです。

 

 

ここまであたりが「悪意」の話題です。

 

 

 

次に、「悪意の認識」に繋がります。

 

悪意、とは意識の「意」を使っている文字ですから、一人称の言葉なのです。

私達は往々にして「彼の人は悪意を持っている」と言う言葉を耳にします。

確認しないと悪意云々はわからないのに、使ってしまうこともあります。

これは事象の外側にいる人間は事実の開始と結果しか認知出来ないからです。

 

本人に「意図しない結果」が発生した場合、

それは事実ベースで言えば「悪意」に成り得ます。

判断の早い聴衆であれば「悪意」がある行為だ断定するでしょう。

少なくとも、「モラルが無い」という話になるかもしれません。

また、本人が悪意を持っている、持っていないに関わらず、

被施術者が悪意であると認識すればそれは悪意なわけですね。

それが他の人と共有されるほど「悪意のある催眠をした施術者」として認識されていくでしょう。

 

こういった「悪意の認識」過程が少し大変なのです。

施術者本人には悪意がなくて、催眠で気持ちよくなってほしいだけなのに

まわりがなんやかんや言って、本人に負担が発生するのは悲しいことです

(ただ、モラルという点で言及されるのは仕方がないかもしれません)

 

 

大変長い文章になってしまいましたが、纏めると

 

・信頼は絶対条件でなく、関心こそが必要条件である

ただし、信頼の介在により催眠は安定して進行する。

 

・ 暗示について、確実に認識する必要がある

アンカーワードや音及び解除の徹底をしているかどうか。

 

・自分が行った結果に大して、帰ってくる声は結果ベースである

そのため、施術者に悪意がなかったとしても悪意がある。と指摘されうる。

正直、モラルについて指摘されても当然というか、当然の帰結かもしれない。

 

ということです。

長々と書いてしまったので、読みづらい箇所が多分にあったかと思います。

本項が皆様の催眠に関する認識や楽しみに少しでも、貢献できれば幸いです。

 

追伸

じゃあ、被施術者はどうなるんだって話もあります。

催眠状態に入ったら、もうなんでもかんでもやられほうだいじゃないか!

でも催眠したい、うーん、困った。

どうやって施術者を選べばいいの?

自分が嫌な催眠とかは拒否したいし、リスクも排除したい!

どうすればいいんだー!ってことです。 

 

 

ひとつは、自分の信じる核や芯、世界を持つことです

こう、そういったやつです。

人生や自分の決めた生き様で少しは譲れない部分はあるでしょう。

所謂、「何人も立ち入らせない絶対領域」です。

そういったものを持つことで、自分を保つことの助けに成り得ます。

 

また、いかにも怪しそーな人(公開情報が少ない人)に催眠を掛けてもらう時は

ある程度、そうなり得る場合もあると覚悟しておくことです

厳しいことを言っていますが、そもそも怪しそーな人に催眠を掛けてもらうのはリスクが大きすぎるのです。

 

だからこそ、いくつか判断基準を設けて、信頼に値する!と考えた人に催眠を掛けてもらうようにしよう!とするのも良いと思います。

例えば、Skype催眠をするのであれば

実際に会ったことがある。とか、ちょっとおしゃべりしたことがある。とか。

人間性は普段の言動に滲み出るものなので、そういった所から信頼に値するかどうか、考えることができるでしょう。

 

ともあれ、最も大切なのは

施術に入る前にお互いに色々と話し合い、

共有しておくべき内容を確認しあい、確実に共有しておく、ということです。

「催眠に掛かる」という事を考えれば、共有すべきものがあると、わかってくるはずです。

 

 

しかしながら、本当に悪意のある施術者の場合、そもそも共有すらしてくれないので

対策のしようがない、といえば無いです。

対策しようとするのであれば、前もって自己催眠を掛けておくこと位でしょうか。

(FFでいうプロテス、DQで言うスクルトみたいなもんです。)

 

ただ、あまりにも全てをひけらかして、コレコレでこれだけ。

絶対コレ以外はやらないで。これだけだから。

っていうのも、少しさみしいかもしれません。

そこはうまいこと、施術者の方とお話するのが良いと思うのです。

 

追伸おわり